おもったこと。

人の思っている事を知りたい、と思った事はないか？

それは、誰でも一度は思った事のある欲求だろう。

では、人の心を知ることができるようになると、どうなるのか？

まず第一に、相手が何を思っているか分かるために、相手の意図した事が素直に繋がる、と言う事があるだろう。
婉曲な言い回しは不必要となり、いろいろ勘ぐったりして思い悩む事もない。

相手が今何をしようとしているのか。
相手が今何をして欲しいのか。
相手が今誰を想っているのか。

ウソというモノが存在しなくなる。転じて、本音というモノも意味を成さなくなる。なぜなら全てが本音なのだから。


では、心を知る事で、世の中が単純になるのだろうか？


そうではないだろう。

良い事だけが増えるだけでない。悪い事も増える。

何が一番怖いかといえば、相手の直接の感情に触れてしまうことに尽きるだろう。

隠せない。ごまかせない。和らげる事が出来ない。
つらい。痛い。泣きたい。逃げたい。

人の精神はそれほど強くない。
そして、素の感情はあまりに強すぎる。

もしわしら始めから相手の心を読めたなら、こうはならないのかもしれない。
だが、仮定は所詮仮定である。

少なくともわしは、自分の事を嫌っている、もしくはうっとおしい、と感じている相手の心を知って「どうでもいい」と割り切れる自身はない。

やはり、人の心は読めない方がいいのだろう。

……読めないからこそ話がややこしくなり、読めないからこそ話が解決する。
現状は実に上手くできている。誰が造ったのかは知らないが。